やってはいけないダメ解決策
詰まりまくった仕事をなんとか期日までに終わらせようとすると、残業が増える。すると会社は「働き方改革」などと称して、残業削減活動を始める。その方針を何も考えずに受け入れたダメ上司は、部下に対して「早く帰れ!」「効率を上げよう!」など精神論をぶち上げる。当然だが、こんな掛け声が役に立たないのは言うまでもない。
さらに、上司だけではなく現場でも働き方改革を推進するメンバーが指名され、そのメンバーが定時になると電気を消したり、エアコンを止めたり、パトロールし始めて「早く帰れ!」とハッパかけ始めたら、いよいよマルチタスク虫の被害は末期症状だ。残業削減に取り組むメンバー自らは残業しているのに、他のメンバーに残業するなと指示を出す理不尽さ。結果、仕事は残っているのに帰ることを強要され、仕事はさらに遅れて、上司から叱責されることになる。
上司に叱責されるのは嫌だし、結果を出さなければ評価に響く。現場は家に持ち帰って仕事するしかない。すると、ブラック企業がいつの間にかできあがる。
このような現場では、「人が足りない」「時間が足りない」などの悲鳴が現場から聞こえている。そこで実施される対策の最終兵器は、「人員を増やす」ことだ。新しい人を追加すれば、こなせる仕事が増えるというわけだ。
だが、これは疲弊する現場に最後のトドメを刺しかねない。新しい人を採用するとどうなるか。実際にはその人に対する教育が必要となり、その分、ただでさえ忙しい人たちの仕事の効率は下がり、こなさなければいけない仕事は増え続ける。
納期が心配になると、進捗会議などが立ち上がり、報告書が増え、さらに肝心の仕事に集中できなくなり、ますます現場は疲弊する。ときには商品を作っているのか、書類を作っているのか分からないという悲鳴が現場から聞こえてくる。
そして、いよいよ現場のメンタルは崩壊し始める。