ご都合主義で視聴者は納得しない

 ローカル局とは異なり、キー局のビジネスは旧ジャニーズ問題のような一大事でも揺るがない強固さがあります。ただ、それゆえにスポンサーの意向を聞き入れる一方、視聴者の厳しい意見を聞き流す「ご都合主義」に傾きがちです。旧ジャニーズ問題で、放送局のそうしたスタンスが見え隠れしたように感じています。

 私は視聴者の感覚と民放の言動との間に温度差が生まれている、あるいは生まれていくのではないかと心配しています。それが不信感を招き、テレビ離れを助長しかねないからです。

 ローカル局を救済し、ネットワーク体制を維持できたとしても、将来、キー局自体が徐々に小さくなる「パイ」を奪い合うような過当競争に陥る可能性があります。そんな中で、視聴者の信頼感まで失ってしまっては致命的な事態を招きかねないと危惧しています。