収入の落ち込みが激しいローカル局

 民放全体として収益の低下傾向が続く中で、東京・大阪・名古屋圏以外のローカル局の下落は顕著です。日本民間放送連盟(民放連)がまとめているデータから2017年度と2022年度の放送事業収入(売上高)を比べてみると、東京・大阪・名古屋の放送局がマイナス5.5%だったのに対し、そのほかのローカル局はマイナス12.6%と落ち込みが激しいことがわかります。


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 人口減少、高齢化、経済の停滞という日本の経済社会の課題がローカル局の経営に打撃を与えています。特に厳しいのは東北地方で、人口減少は全国平均より15年も早く進行していると言われます。若い世代が首都圏に流出して、高齢化率が年々高まっています。

 2022年10月1日時点の総務省の調査によると、1年前と比べて人口減少率が最も大きいのは秋田県で、以下、青森県、岩手県、山形県と続き、東北地方が上位に並んでいます。

 秋田県には日本テレビ系の秋田放送、テレビ朝日系の秋田朝日放送、フジテレビ系の秋田テレビがあります。この3局の売上高の合計を先ほどと同様に、2017年度と2022年度で比べてみると、マイナス14.7%でした。ローカル局全体の平均(マイナス12.6%)より下落率が大きいのがわかります。


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 ローカル局の売り上げは、自社で制作した番組を放送して、地域スポンサーからのCM出稿による広告収入が第一義です。しかし、ローカル局全体の自社制作率は約10%と言われ、中には5%程度しかない局もあるようです。つまり、ローカル局は、ほとんどの時間帯でキー局の番組を受けて放送しているのです。

 キー局が制作した番組を放送することで、ローカル局はキー局から、「電波料」「ネットワーク費」などの名目の分配金を受け取ります。ローカル局の放送時間枠をキー局が買い取った対価という理屈です。