ゴールデンタイムに流れた自局の人材採用CM

 ローカル局は原則として県単位に存在する放送局で、それぞれが日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビの東京キー局の傘下にあります。キー局と、道府県に林立する、同じ系列のローカル局とを線で結ぶと網状になります。これをネットワークと呼んでいます。

 全国で100を超えるローカル局が存在しますが、過疎化が急速に進んでいる地域のローカル局の経営は厳しくなっています。

「ゴールデンタイムに人材募集のCMが流れたことに驚きました。貴重なゴールデンタイムのCM枠なのに」

 私のテレビ朝日時代の後輩が今夏、九州のある県でテレビを見ていた時に、そのローカル局の人材募集のCMが流れたそうです。普通なら高い金額で売れる(売るべき)ゴールデンタイムのCM枠を、自局の人材募集の広告で埋めていたのです。

 そして、「高校卒も可」という点にさらに驚いたということでした。私は必ずしも大学卒が有能だとは思いませんが、これまでローカル局を含め、民放の人材採用は大卒を条件とするものがほとんどだったのが実態です。

 CMは売れない、業績は悪い、人気は低下、人材も集まらない・・・「ローカル局の経営は苦しい」という先入観もあって、話しながら私たちは勝手にそんな想像をしました。人材募集の背景について直接確認したわけではありませんが、4年前まで40億円台で推移していたその放送局の売上高は、3年前から30億円台になっていて業績はよくありません。