「平成新局」は誕生からずっと「失われた30年」

 分配金の詳細情報は非公開ですが、ローカル局の売上高の4分の1とも、3分の1とも言われています。

 地方経済が衰退して、広告収入が低下傾向にある中、ローカル局の事業存続のためには分配金は必要不可欠だと言えます。まるで、親からの仕送りに頼る、「すねかじり」の子のようですが・・・。

 そのローカル局の中でも格差があります。元号が平成になってから設立された、「平成新局」と呼ばれるローカル局は5つの系列で合わせて22局ありますが、もともと経営基盤が弱小です。さらに、会社の誕生時から今日まで「失われた30年」に見舞われているだけでなく、昨今の動画配信の伸長のあおりを受けています。

 ネットワークの中心にいるキー局にとって、ローカル局の苦境は30年来の課題であると言えます。その苦境が限界に近づいている予兆があるのか、ここにきて、救済に向けた動きが出ています。

 これまで大都市圏以外の地方では道県単位で番組を編成し、放送するのが基本でしたが、放送法と電波法が改正され、地域の異なる複数の放送局が、同じ番組を放送することができるようになりました。

 これは将来の再編・統合も視野に入れた仕組みです。松本総務大臣(当時)は5月に、国会答弁で「様々なレベルでの再編・統合に取り組んで、新たな事業展開の可能性を広げていただきたい」と述べています。