- 中小企業の脱炭素ビジネスは「採算がとれる」と言えそうだ。調査によると、事業全体に占める売上高割合が高い企業ほど、黒字基調である傾向が強い。
- 東京の産業用冷凍機メーカーは、地球温暖化への影響が大きいフロンガスを冷媒に使わない冷凍機を開発。脱炭素の時流に乗り、年商は数倍に伸びた。
- 脱炭素を取り巻く環境は今、変化が激しい。小回りが利き、ニッチ市場に踏み込みやすい中小企業の方が脱炭素ビジネスに向いていると言えるかもしれない。
~ 中小企業の今とこれからを描く ~
日本政策金融公庫総合研究所では、中小企業の今とこれからの姿をさまざまな角度から追うことで、社会の課題解決の手がかりを得ようとしています。最新の調査結果を、当研究所の研究員が交代で紹介していきます。今回は、脱炭素ビジネスに挑む中小企業について考えていきます。
(原澤大地:日本政策金融公庫総合研究所 研究員)
中小企業に求められる脱炭素の二つの方向性
地球温暖化が急速に進むなか、中小企業に求められる脱炭素の取り組みとしては、大きく二つの方向性が存在する。
一つ目の方向性が、「自社の温室効果ガス排出量の削減」だ。ただし、前回確認した通り、中小企業の温室効果ガス削減の取り組みは思うように進んでいないのが現状だ。温室効果ガス排出量を削減するためには新たな設備投資が必要になったり、余計な手間がかかったりと、経営への負担が小さくないためだ。
こうした状況を変える鍵となり得るのが、二つ目の方向性である「脱炭素ビジネスへの参入」である。負担感なく温室効果ガスを削減できるような、優れた商品・サービスを提供することができれば、脱炭素社会の実現に大きく貢献することになるだろう。
電気自動車や再生可能エネルギーに代表されるように、脱炭素ビジネスの市場は年々拡大の一途をたどっており、参入する企業も増えつつある。そこで連載第2回となる今回は、脱炭素ビジネスに取り組む中小企業に着目し、取り組み状況や特色ある事例について紹介したい。
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