写真:アフロ

(杉山大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

一番の目玉は気候変動問題だが…

 今年の環境白書(令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書)が6月9日に公表された。

 日本政府は「脱炭素」を強力に推進している。環境白書はその根拠として「気候変動の危機」を訴えているが、驚くべきことに、気象観測の統計データは示されていない。

 データを見せれば見せるほど、危機など起きていないことがバレてしまうので、そのような不都合なデータを見せたくないのであろう。これは単なる勘繰りではなく、そう疑う理由が十分にあることを説明しよう。

 環境白書では一番の目玉は気候変動問題になっている。

 そこで該当部分を読んでみたところ、「脱炭素の取り組み」については膨大な文字数が割かれている一方で、気候変動の現状についての記述はわずかしかない。そして、その内容がまたあまりにもお粗末だ。

 白書では、「気候変動の危機的な状況について」論じるとして、以下のような図を掲載している。

出所:環境白書令和5年版
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