そして総務省は、そうしたシステムを求める全国の自治体を審査した上で、地域BWAの無線局免許(https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/system/ml/area_bwa/002.pdf)を付与している。要は公的な通信インフラの設置を進めているのである。さらに今後は、日本政府が目指すスマートシティ構想にもこの通信インフラが組み込まれていく可能性もある。

 ところが、公的サービスとしてそんな通信インフラを構築する試みの裏で、世界的に排除が進むファーウェイ機器が使われている。しかも、その事実は広く知らされていないので、利用者たちは知らず知らずのうちに、世界で警戒されている機器メーカーの通信機器を使ってしまっていることになる。

総務省が審査を経て許可

 筆者が入手したBWAで同社製品を導入している事業者のリストを見ると、そこには例えば、北海道の東部、静岡県の中部、長野県の北部、富山県の北部、石川県の西部、愛知県の東部や南部、岐阜県の南部、三重県の中部や東部、兵庫県の西部、広島県の東部や西部、鳥取県の東部、島根県の北部、山口県の南部、徳島県西部、愛媛県の東部などの事業者が並んでいて、全国に広がっていることがわかる。

 実は、関西の事業者が公開している資料によると、全国の地域BWA基地局の8割(https://hce.hanshin.co.jp/business/pdf/document_17_koukaisiryou.pdf)で、ファーウェイ製品が組み込まれているという。この取り組みに事業者として参加しているのは、多くが地域のケーブルテレビ局であり、彼らがBWAの免許を受け、そこに民間の通信系の会社が入って機器の設置や管理を請け負っているのである。