使われているファーウェイ製品は、例えば、通信を行う基地局にあるコア設備や、無線機「RRH(Remote Radio Head)」や、RRHを集約するための基地局制御装置「BBU(Base Band Unit)」などがある。そこではサービスの制御や加入者データの管理、パケットの処理、システム全体の監視、そして外部ネットワークとの接続も同社製品で行われ、要するに基地局の根幹を担っている。こうした基地局のシステムをファーウェイや、そのほかの中国製品も加わって運営されているのである。
ただこれは正当に機器を納入しているファーウェイやほかの中国企業が悪いのではない。審査の段階で、ファーウェイ機器が入るのをわかった上で許可を出している総務省側に問題がある。
情報が中国に漏れる恐れを払しょくできない
先に述べた通り、世界的には同社の通信機器を排除する動きが活発になっており、広く報道されている。日本政府は経済安全保障を重要課題として予算をつけて取り組んでいて、BWAのようなビジネスが安全保障に及ぼす影響に警戒を示している。少なくとも、疑惑のあるメーカーを表に見えないインフラ内部で使うのであれば、それはきちんとユーザーに情報公開してその現実を知らせるべきではないだろうか。
ファーウェイがなぜ先進国から排除されているかといえば、一つには、2017年に中国で制定された国家情報法がある。この法律の第7条には、「個人や組織は政府の情報活動に協力しなければならない」と定められており、中国企業のファーウェイも活動に協力する必要がある。
さらには、中国政府との近い関係を否定してきたファーウェイは、実際には創業当時からこれまでも多額の産業補助金を中国政府から受け取ってきている。米シンクタンクの外交問題評議会によると、世界的大企業になっているファーウェイには、創業以降、最大750億ドル規模の支援を受けているという。政府とは蜜月であることがわかる。