(国際ジャーナリスト・木村正人)
米紙「幹部13人拘束」
ロシア軍の機能不全がピークに達している。
モスクワまで200キロメートル圏内に迫った6月24日の「プリゴジンの反乱」後、ロシア民間軍事会社ワグネルグループ創設者で「プーチンの料理番」と呼ばれたエフゲニー・プリゴジンに協力したとみなされたロシア軍・国防省上層部の粛清が相次いでいるからだ。
英大衆紙デイリー・メール(電子版、7月15日付)は「ここ数カ月で停職、拘束または行方が分からなくなった軍・国防省の幹部は8人」と伝えた。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版、7月13日付)は「少なくとも軍・国防省の幹部13人が尋問のため拘束された。何人かは釈放されたが、15人前後が停職、解任された」と報じた。
ロシアの国防問題に詳しい米シンクタンク「ランド研究所」のダラ・マシコット上級政策リサーチャーは7月14日の連続ツイートで「権力(プーチンと軍・国防省上層部)に真実を語ったという理由で複数の将軍が解任、拘束され、疑惑の目を向けられている。無能と裏切りが交錯している」とウクライナ戦争への影響を分析している。
「『プリゴジンの反乱』の余波で、軍内部の粛清が行われているとか、いないとかというウワサが絶えない」(マシコット氏)
粛清を指揮しているのは、ウクライナ戦争で致命的な失敗を繰り返しつつも、プーチンに揺るぎない忠誠を尽くし、命脈を保ってきたセルゲイ・ショイグ国防相とワレリー・ゲラシモフ軍参謀総長である。