限界を超えたラクダはたった1本の藁でつぶれる

 なかでも「ワイルドカード」になりそうなのがイランとイスラエルの軍事衝突リスクです。イランの核施設から84%の高濃縮ウランが見つかったとIAEA(国際原子力機関)が報告書をまとめたことが明らかになっています。

 イランの核開発が進むのをイスラエルが放置するとは思えず、軍事衝突が起きる可能性が高まっています。イランの友好国であるロシアがウクライナとの戦争で手一杯である以上、これはいつ起きてもおかしくないと筆者はみています。そうなれば原油価格は一気に高騰するでしょう。1バレル=130ドル以上になるような事態も考えられます。

 それでも、FRB(米連邦準備制度理事会)は5月3日の次回会合で、政策金利を0.25%引き上げると予想されています。

「金融危機や景気悪化があるかもしれないのになぜ?」と思われるかもしれません。この裏には、米中関係の悪化で中国が米国債を売却していること、ウクライナ支援で多額の経費がかかることなどから、ドル高を維持し、海外の資金を米国に引き寄せなければならないという事情があるのだと思います。

 筆者はこの利上げは世界経済や株価に対する「最後の藁(ラストストロー)」になる可能性があるとみています。ラストストロー現象とは、たくさんの荷物を運べるラクダでも、限界の重さを超えると背中に藁(straw=ストロー)をたった1本載せただけでもつぶれてしまうことを言うことわざのようなものです。

 次のFRBの利上げがラストストローになり、利上げ効果が表れるまでに数カ月のタイムラグがあるのだとしたら、7〜9月のどこかで株価の大調整が起きる事態を考えておく必要があると考えています。

※本稿は筆者個人の見解です。実際の投資に関しては、ご自身の判断と責任において行われますようお願い申し上げます。