シリコンバレーバンクの破綻は米国で過去2番目の規模(写真:ロイター/アフロ)

米カリフォルニア州のシリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻した。金融当局は、預金保険の対象となる上限(25万ドル)を超える分まで保護することを決定したほか、連鎖倒産を警戒し、金融機関向けに緊急の融資枠を設定するなど、「火消し」を急いでいる。だが、ニューヨーク州金融監督当局がシグネチャー・バンクの事業を停止するなど、SVBの破綻が起こした火が「延焼」する兆しが見え始めている。

(市岡 繁男:相場研究家)

破綻前日に株価が60%暴落

 3月10日の金曜日、米連邦預金保険公社(FDIC)はニューヨーク時間の正午前、資産規模で全米16位の銀行であるシリコンバレーバンク(SVB)の閉鎖に動きました。これは2008年のワシントン・ミューチュアルに次いで、米国において過去2番目に大きい銀行破綻となります。

 このような場合、通常は営業終了まで待つものです。しかし、前日に親会社であるSVBフィナンシャル・グループの株価が60%も暴落したこともあって異例の対応となりました(図1)。それだけ預金が引き出されるペースが速かったということです。

【図1】出所:yahoo! finance
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 各種報道によると、カリフォルニア州サンタクララに本社を置く同行の総資産は2090億ドルで、テクノロジー分野、新興企業、エンジニアを結ぶ主要な金融窓口でした。スタートアップの創業者が新たな投資家を探したり、株式を公開したりするためには、この銀行と関係を構築することが重要だと考えられていたのです。

 このため、ベンチャーキャピタルから資金を得て上場した米国のIT企業やヘルスケア企業は、その半数近くがSVBの顧客です。こうした企業はいま、同行に預けたお金を動かせなくなっており、従業員に給与を支払うことができません。