1万人の人員削減を発表した米マイクロソフト。米国では大規模な人員削減が続く(写真:ZUMA Press/アフロ)

(市岡 繁男:相場研究家)

米国で相次ぐ万人単位のリストラ

 2021年11月中旬、米マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は保有する自社株の約半分、2億8500万ドル(当時の為替レートで約320億円)相当を売却しました。今、振り返って驚くのは、ナデラ氏の自社株売却のタイミングがマイクロソフトの株価ピークとほぼ一致していることです。

 先日、同社は社員の約5%にあたる1万人を削減すると発表しましたが、そんな予知能力(?)に優れたIT大手のCEOが経営を縮小するというのだから穏やかではありません。おそらく、先行きは深刻な不況になることを察知したのでしょう。

 大規模な人員削減を行うのはマイクロソフト以外にも、アマゾン・ドット・コム(1万8000人)、メタ(旧フェイスブック、1万1000人)、グーグル(1万2000人)などIT企業全般に広がっています。

 またゴールドマンサックス、モルガンスタンレーなど金融業界も数万人規模の人員削減を予定しているそうです。各社とも2000年のITバブル崩壊や2008年のリーマンショック並みの市場環境悪化に備えているのです。

 実際、先行きの不況到来=株価の下落を告げるサインには事欠きません。