ウクライナ戦争の終結に向けた道筋はなお見えていない(写真:ロイター/アフロ)

(市岡 繁男:相場研究家)

資源輸出の制限で米国を揺さぶるロシア

 ロシアによるウクライナ侵攻、エネルギー価格の上昇などに伴う世界的な物価高騰、1ドル=150円台という急激な円安、そして日銀による事実上の利上げ・・・、想定外が続いた2022年が終わり、新年が明けました。

 2023年はどんな年になるでしょうか?

 私は、世界的により不安定で混沌した状況になり、政治、経済、軍事、そして自然界も激動する「世界的規模の幕末化」が進行すると予想します。

 相場に関して言えば、地政学的な緊張が深まり、また、膨張した債務問題が深刻化することに伴い、あらゆる市場で価格が乱高下する1年になるとみています。投資家にとってピンチのように映りますが、激動は相場にとってチャンスが訪れることをも意味します。

 乱高下を予想する一番大きな理由は、ロシアと、米国を後ろ盾とするウクライナの戦争が激化するとみるからです。

 一般的に、ロシアは西側主要国からの経済制裁でダメージを受け、軍事面でも守勢に回っているとの見方があります。しかし、資源大国のロシアは各種資源の輸出を制限し、インフレ懸念を増大させることで、米国の強さであり、弱みでもある株価を揺さぶろうとしています。