経営不安が広がっていたスイスのクレディ・スイス・グループが同国のUBSに買収されることが決まった。行き詰まりの要因は異なるものの、米シリコンバレーバンク(SVB)の破綻をきっかけに広がった金融機関に対する経営不安は拡大している。当局による迅速な対応で、金融危機を防いでいるとの見方もあるが、筆者にはまだみえていないところで火種がくすぶっているとしか思えない。
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◎シリコンバレー銀行破綻は氷山の一角、世界金融危機に発展してもおかしくない
(市岡 繁男:相場研究家)
シリコンバレー銀行のバランスシートを読む
3月はSVBなど米国の銀行3行が経営破綻(3月20日時点)し、スイスではクレディ・スイスがUBSに吸収されるなど、波乱の展開となっています。
前回の当コラム「シリコンバレー銀行破綻は氷山の一角、世界金融危機に発展してもおかしくない」で筆者は、次のように書きました。
「問題の本質は、銀行が預金の引き出しをカバーするため、含み損を抱えた債券等を売却せざるを得なかったことにあります」
「長期金利が急騰していない日本を除けば、世界中の銀行が同じ悩みを抱えているのです。つまり、いつ世界的な金融危機に発展してもおかしくないということです」
そこで今回は、SVBのバランスシートの推移をみることで、破綻の経緯を振り返ってみます。
まずSVBの総資産と預金をみてみましょう。