(写真:西村尚己/アフロ)

 政府が「貯蓄から投資へ」という施策を進める中、木原誠二官房副長官の「1億総株主」という発言が波紋を呼んでいる。国民に投資の果実を受け取ってほしいというニュアンスだったが、資金力のない人との格差が広がるとの批判が出た。鈴木俊一財務大臣は「政府が利用している用語ではない」と火消しを図ったものの、日本はすでに1億総株主社会になっているのが現実だ。株式投資を行う国民は少数派であるにもかかわらず、なぜ日本は1億総株主社会なのだろうか。(加谷 珪一:経済評論家)

老後の生活設計を国民に丸投げ?

 木原氏は2023年2月11日、日本証券業協会などが開催した少額投資非課税制度(NISA)のイベントに出席。岸田政権が掲げる資産所得倍増プランに関して、「国民が投資を十分にしていない。できれば『1億総株主』になり、成長の果実をしっかり受けていただくことが重要だ」と呼びかけた。

 岸田首相は、派閥の創始者である池田勇人首相にあやかり「所得倍増計画」を提唱。当初は賃上げを通じて国民生活を豊かにする方針を強調していた。ところが「所得倍増計画」は「資産所得倍増プラン」に名称が変わり、株式投資を通じて資産を倍増するプランになってしまった。

 単純に賃金が増えるという話と、自身でリスクを取って資産を倍増させるという話は、だいぶ違っており、一部の国民からは批判の声が上がっている。