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 国民年金の納付期間の5年延長など、年金制度改革に関するプランが次々と持ち上がっている。このほか、厚生年金の加入対象者拡大や、基礎年金の財源不足を厚生年金から補填する案など、基本的に徴収を強化する流れに見える。
 このタイミングで年金制度改革に関する議論が活発化していることの背景に、今後3年間、大きな国政選挙がないという、政治的思惑(いわゆる「黄金の3年間」)があるのは間違いない。
 一方で、予想以上に少子化が進んでおり、このままでは年金額の目減りが激しくなるのもまた事実である。(加谷 珪一:経済評論家)

払った金額の2倍もらえる状態は維持不可能

 公的年金のあり方について議論する厚生労働省の審議会が、約3年ぶりに再開されたことをきっかけに、年金制度改革に関するニュースが多数、報道されている。

 日本経済が長期低迷していることに加え、少子化が予想以上に進展していることから、現行制度のままでは、給付水準のさらなる低下が不可避となっている。2024年には5年に一度の年金財政検証が行われる予定であり、制度改正の議論が本格化するのは間違いない。

 よく知られているように日本の年金制度は賦課方式といって、自身が積み立てたお金を将来、受け取るのではなく、現役世代から徴収した保険料を高齢者に支払う仕組みになっている。