看板だけの「テセウス」に気づくのは……

「テセウスの船」では、劣化して腐ったパーツが順に入れ替えられていきます。

 日本政府も同様に、憲法9条に関して、時代の経過によってそぐわなくなってしまった部分を随時変更しているに過ぎない、と言うのかもしれません。 

数々の彫刻になっている英雄テセウス。こちらはイタリアの彫刻家アントニオ・カノーヴァの作品(写真:GRANGER.COM/アフロ)

 しかし、気付いた頃には、私たちが「テセウスの船」だと思っていた物は、看板だけは「テセウスの船」だけれども、帆が外され、代わりに砲台が付け加えられ、「軍艦」へと姿を変えられているかもしれません。

 その頃には、日本は戦争の「当事国」となっているでしょう。