はじまりは自衛隊の創設

 最初にして重要なパーツの入れ替えは、間違いなく、1954年に保安隊が改組され、国防を役割とする自衛隊が創設されたことでしょう。

 憲法9条には、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書いてあります。

 自衛隊は「戦力」に当たり、憲法9条に違反するように思えます。語弊を恐れずに言えば、自衛隊(英語だとSelf Defense Force)は、「戦力」(英語だとForce)に該当する、と考える方が素直な解釈だと思います。

 しかし、政府解釈は一貫して、自衛隊は「戦力」ではない、としています。その根拠は、自衛隊は「必要最小限度の実力組織」であるため、です。

 なぜ「必要最小限度の実力組織」だと「戦力」には該当しないのか。自衛隊が「必要最小限度の実力組織」だと言える根拠は何なのか。

 こうしたことは、防衛省の官僚ならばスラスラと言えるのかもしれませんが、一般的な用語法からはなかなか導けないでしょう。

 ただし、そのことはここでは問題にはしません。
 
 なぜなら、少なくとも現在においては、自衛隊(国防を担う組織)の存在そのものを否定し、すぐに撤廃すべきという見解は、リベラル派の中でもあまり見られないからです。

 国政レベルで言えば、日本共産党でさえ、いわゆる「段階的廃止論」の立場をとっており、自衛隊の即時撤廃までは主張していません。

 自衛隊創設というパーツの入れ替えは、すべてのはじまりという意味では重要であることには間違いありません。ですが、以下に述べる理由により、それ単体ではあくまでも数%、もしくは10数%程度のパーツの入れ替えだったように思います。