離陸する航空自衛隊のF-15戦闘機(資料写真、SSgt Jim Araos, Public domain, via Wikimedia Commons)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 政府が自衛隊のスクランブル(対領空侵犯措置)に無人機を活用する検討に入ったとの報道がありました。

 スクランブルの回数が劇的に増えて空自の負担が増大する中で、政治家の発言を含めてそうした声はかなり以前から聞こえていました。

 その一方で、「現存している無人機は低速度で空対空戦闘に向かないものが多い」「緊急発進したところで速度が遅すぎるため対象機の領空侵入に間に合わない」などとして、無人機の活用は非現実的だとする意見も多く聞かれます。

 防衛省がトルコ製のバイラクタルTB2(以下TB2と記述)や米国製のMQ-9リーパー(以下MQ-9と記述)などを調達し、実験を行う方向であることを3月4日に日本経済新聞が報じました。これらはやはり低速な無人機ですが、限定的な空対空戦闘も可能な機種です。

トルコ企業がリトアニアに無償提供した無人機「バイラクタルTB2」(資料写真、2022年7月6日、写真:ロイター/アフロ)