また、早めにスクランブルを行うと、早く離陸した分だけ、長時間の対応が必要になります。燃料が切れそうな場合は、対処の途中でスクランブルした編隊を交代させるため、多数機をスクランブルさせなければならなくなることもあります。こうした早めの対応は、結果として戦闘機部隊の負担を増大させます。

 以前のスクランブルは、この早めの対応を採っていました。しかし、中国機の活動増大などのため、現在では早めに対象機を捉えていても、ギリギリのタイミングでスクランブルを行うよう対応を変えています。そこまで自衛隊は負担を強いられているということです。

(2)必ずしも高速である必要はない

 また、「スクランブルには高速度が必要」という認識も必ずしも正確ではなく、誤解されていることがあります。

 かつて日本の領空に接近する航空機は、戦闘機や爆撃機でした。比較的低速度の爆撃機であるロシア製のTu-95ベアであっても、巡航速度は時速700キロを超えていました。

 ところが、長時間滞空性能に優れた低速度の無人機が我が国領空に接近するケースが増えています。尖閣方面などへの接近事例がある中国の無人機BZK-005の巡航速度は時速219キロと言われています(その一方滞空時間は40時間に及びます)。