低速度のTB2やMQ-9ではスクランブルの役には立たないという意見が出ることも当然と言えます。
しかしながら、ここに誤解があります。スクランブルは、必ずしも英単語のスクランブルではありません。つまり、急いでいるとは限らないのです。
一般に認識されているスクランブルは、正確には「ホットスクランブル」というものです。急いで対応しないと未確認の飛行物体が領空に侵入してしまうケースで発令されます。これは何らかの理由で警戒管制組織が十分に機能しなかった場合です。
レーダーが遠方で未確認飛行物体を捉えていれば、ある程度余裕をもって、慌てることなくスクランブルを行い対処することができます。
ところが、まださほど領空侵犯の危険性が高くない段階でスクランブルすると、必然的に件数が多くなります。発進した後に、実はスクランブルする必要がなかったと判明することもあるからです。情報の伝達ミス、トランスポンダや無線機の設定ミスなど、さまざまな理由で、実際には必要のないスクランブルが行われることがあります。