それでも、滞空性能に大きな開きがあるため、BZK-005のような機体が飛来した場合には、複数編隊が交代で対処しなければなりません。

 また、各編隊が可能な限り長時間の対処を行うため、翼下に増槽(追加の燃料タンク)を3本も取り付ける3タンク運用を行います。3タンクでは、高速度を出しにくい上、重量も大きくなるため離着陸での難易度も上がります。

 3月6日、新田原基地からスクランブル発進しようとしたF-15が、離陸滑走中にエンジントラブルが発生したため滑走路逸脱事故を起こしました。この際も3タンクでした。増槽が少なければ、滑走路を逸脱することなく停止できたかもしれません。

撃墜せず「継続した監視」を行う理由

 上記の現実問題を指摘すると、「継続した監視などせずに撃墜すればいいではないか」と思われる読者もいるかもしれません。

 もちろん、撃墜すれば我が国の領土も主権も守られます。しかし、不必要な緊張を高める結果ともなり、望ましくありません。