海と空では適用される国際法が異なるため対応も異なりますが、スクランブルにおいて滞空性能の高い無人機を使用する目的は、海上自衛隊が、戦闘能力が極めて低い哨戒艦を導入する目的と根本は同じです。戦闘よりも、国際司法裁判所において主張できるような実績を積み立てるためなのです。

 BZK-005のような長時間滞空型の無人機に対しても、有人の戦闘機で対応できれば良いのですが、それは部隊にとって膨大な負担となります。そうした機体が飛来した際は、こちらも同様の長時間滞空が可能な無人機によって対応せざるを得ないのです。

 なお、海自の件にも触れたので誤解されないように付言しておきますが、航空自衛隊が実施している対領空侵犯措置は国際法上の「自衛権」に基づく活動ではなく、「管轄権」という、領域を統治する権能に基づいた行為です。

 対領空侵犯措置は、海上においては主に海上保安庁が、陸上においては警察が実施している領域警備の一環として行われます。空においては、(通常は各国とも軍隊が実施していますが)空からの不法入国を取り締まる警察権に基づく活動と言えます。

尖閣上空の実効支配を保ち続けるために

 日経の報道によれば、政府はTB2やMQ-9のような機体を自衛隊に導入の上、まずは艦船を追尾する段階から始めるようです。無人機の運用ノウハウを積み上げた上で、スクランブルにも対応してゆくということです。