中国の母娘(写真:アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 近年、日本だけでなく東アジア諸国でも少子化が深刻になっており、その対策が重要な政治課題として議論されている。

 日本では、岸田文雄首相が、年頭の記者会見で「異次元の」少子化対策に挑戦すると表明した。この首相会見の3時間前には、小池百合子都知事が「チルドレンファースト」社会の実現を目指すとして、2023年度から所得制限を設けずに、0歳から18歳の子どもに、1カ月5000円の給付を行うことを華々しく打ち出した。

 子どもを産まない社会は、日本だけではなく、お隣の中国も韓国も同じである。

中国、61年ぶりに人口が減少

 1月17日、中国国家統計局は、2022年末の中国の人口が、2021年比で85万人減少し、14億1175万人だったと発表した。これで、人口世界一はインドとなるようである。

 中国の人口減少は、1961年以来、実に61年ぶりのことである。出生数は前年比106万人減の956万人で、6年連続の減少である。人口1000人当たりの出生率は過去最低の6.77人であった。

 65歳以上の人口は2億978万人、総人口に占める割合は14.9%で、2021年の14.2%から増えている。まさに少子高齢化社会の到来である。

 新型コロナウイルスが流行する前、私は毎年、中国の大学に招かれて講演してきたが、私が厚生労働大臣だったこともあって、講演テーマについてのリクエストは少子高齢化問題がいつもトップであった。日本の介護保険制度などについて解説し、官民で協力して高齢者の介護に当たっている現状を説明したものである。

 2019年に、中国社会科学院は、中国の人口がピークに達するのが2029年で、2030年から減少に転じるという予測を出していたが、その予測よりも8年も早く人口減少の波が押し寄せてきたのである。