我が国としては、今回のアフリカ開発会議を通じて、何とか、援助額では日本をはるかに上回る中国に対して有効な対抗軸を形成したいと考えていた。種々検討した結果、編みだしたのは、中国からの債務漬けで困窮している国に対し、そこからの脱却を手助けするため、もしも、当該途上国が“中国からの融資を再検討”するのであれば、日本のODA資金を提供するという作戦であった。だが、中国は、その機先を制し、同開発会議の直前に外相会議を開催し、その場でアフリカ諸国に対する大幅な債務棚上げを打ち上げた。

 その10日後、我が国は、予定通り、アフリカ開発会議を開催し、法の支配、透明性の確保、国際基準の順守といったいつものきれいごとを並べ立てたが、こういった発言は、実利を重んずるアフリカ諸国にとっては、全く効き目がないだけでなく、むしろ耳障りに聞こえたであろう。

 この点、中国のように、アフリカ諸国に対し、何本の無利子融資を帳消し、その総額は幾らとするといった具体的な提言の方がはるかによく聞いてもらえたであろう。

強権国家陣営vs自由主義陣営、アフリカ諸国は前者に好意的

 実は、中国が今回このような施策を大々的に打ち上げたことの背景にはもう一つ理由がある。

 ご承知の通り、ウクライナ戦争以来、世界は、中国、ロシアを枢軸とする強権国家陣営と、G7諸国を中心とする自由主義陣営とが鋭く対立する構図となったが、世界にはその間で立場を明確にしないグレーゾーン国が多数存在する。ここ2、3カ月の間激しくなってきたのは、このグレーゾーン国に対する2陣営による綱引きであった。今回の中国の債務救済発言は、そのような政治的なコンテクストの中で行われたものであり、それは、明らかにこれらグレーゾーン国を強権国家側に引き寄せることを狙ったものであった。