施設の目玉はドーナツ型の回遊水槽だ。この水槽はアクリル板で内・外に区切られている。外側にはイトウなどの大型魚、内側にはニジマスなどの若魚が泳ぐ。
二重にしたのは大型魚が小型魚を捕食しないようにするためだ。内側・外側から見ることができるほか、下部のトンネルから見上げることもできる。2階に上ると、ドーナツ型の全体像がわかる。自然光メインというわけではないが、立体的な見せ方の工夫に感心した。
小さな水族館には個性的な施設が多いが、ここはまさに「唯一無二」といえる水族館だ。
九十九島水族館 海きらら
毎日の潜水清掃で保たれる圧巻の美しさ
■九十九島(くじゅうくしま)水族館 海きらら
長崎県佐世保市鹿子前町1008
1994年開館、2009年にリニューアル
設計:古市徹雄・都市建築研究所(当初)、日建設計(リニューアル)
交通:JR佐世保駅からバスで約25分
https://umikirara.jp/
やる気になればここまでできる、という筆者イチオシの自然光水槽が長崎県にある。「九十九島水族館 海きらら」だ。
長崎県佐世保市西部の鹿子前町に1994年、「西海パールシーリゾート」の中核施設としてオープンした。設計者は建築家の古市徹雄氏。2008年まで船の展示館とアイマックスドームシアターを併設していたが、いったん閉館しこれらを廃止したうえで、水族館機能を拡充。「九十九島水族館 海きらら」としてリニューアルオープンした。
リニューアルの設計を担当したのは日建設計。既存建物の南東側に建物を増築し、「九十九島湾大水槽」や「九十九島イルカプール」を新設した。