2018年に新施設となってオープンした「上越市立水族博物館 うみがたり」。イルカのプールは前方の海とひと続きに見える「インフィニティ・プール」となっている

(宮沢 洋:BUNGA NET編集長、編集者、画文家)

 水族館は、大人も子どもも楽しめる稀有な観光施設である。各都道府県にたいてい1つ以上あり、旅行の計画にも入れやすい。筆者は2022年7月下旬に上梓する『イラストで読む建築 日本の水族館 五十三次』(青幻舎)の中で、全国53館の水族館をレポートした。水族館は近年、新施設やリニューアル施設が続々とオープンしており、今が旬だ。

 筆者は建築専門雑誌の元編集長で、今は「画文家」として活動している。昔から水族館が好きだったが、ガイドブックを見ていると、「建築」や「空間」に触れているものはほとんどない。建築好きとしては、魚だけでなく、空間も見てほしい。

 だから、自分で書くことにした。完成した書籍の帯には、「“建築”を知れば水族館が2倍楽しい!」というキャッチコピーが躍る(編集担当者が付けたもの)。まさにそんな内容の本である。

 この本で取り上げた53館の水族館の中から、空間体験が特に素晴らしい6施設を2回に分けて紹介する。まずは、「アイデアの勝利」といえる3館。

上越市立水族博物館 うみがたり
コンピューターを駆使した擬岩が大迫力

(写真・イラスト:宮沢洋、以下同)

■上越市立水族博物館 うみがたり
新潟県上越市五智2-15-15
1934年開館、現施設は2018年完成
設計:日本設計
交通:直江津駅から徒歩約15分
http://www.umigatari.jp/

※本記事に含まれている写真や画像が配信先のサイトで表示されない場合は、こちらでご覧ください。https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/70908

 もともと個人経営の水族館が始まりで、1954年に直江津町(当時)に移管されて公立に。6代目となる現在の建物は、日本海沿いの敷地に、2018年に新築された。

 アイデアに感心したのは、施設の目玉でもある「うみがたり大水槽」だ。この大水槽では、世界にも類を見ないほど急峻な上越沖の海底地形を「擬岩」で再現している。海中を潜るようにスロープの通路を下りていくなかで、水槽内のさまざまな風景を楽しめる。

 これまで水族館で「擬岩」自体を意識することはあまりなかった。しかし、ここは明らかにつくり手の強い熱意を感じる。