フォルクスワーゲン「ゴルフTDI」

(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト)

マツダの新開発ディーゼルエンジンが注目の的に

 レギュラーガソリンの全国平均価格が1リットル170円台、燃料油価格激変緩和補助金なしだと200円超という未曽有の燃料高騰が続いている。そんな折、マツダが発表した中型SUV「CX-60」の新開発ディーゼルエンジンがちょっとした注目の的となっている。

マツダ「CX-60」

 マツダは10年前の2012年にリリースしたSUV「CX-5」以降、ディーゼルを看板技術のひとつに掲げてきた。現在、排気量1.5リットル、1.8リットル、2.2リットルと、乗用車用ディーゼルを3機種ラインナップしている。CX-60のディーゼルは排気量3.3リットルで、マツダのディーゼル乗用車としては初の6気筒である。

 最近はエンジン技術の発達に伴って多気筒にせずとも騒音、振動を減らせるようになってきたが、ことディーゼルにおいては4発と6発では厳然とした差がある。関東マツダの幹部は「今のところ、お客様からの問い合わせはディーゼルに集中しています。やはり6気筒エンジンの高級感に期待される声が多い」と明かす。

マツダ「CX-60」に搭載される新開発の自社製直列6気筒ターボディーゼル「T3-VPTS」。排気量は3.3リットルで最高出力は非ハイブリッドが170kW(231馬力)、マイルドハイブリッドが187kW(254馬力)

 注目点はそれだけではない。新型エンジンで非常に優れているのは燃費である。WLTCモード走行時の燃費値は後輪駆動車で19.8km/L(リットル)、AWD(4輪駆動)車で18.5km/L。さらにこのエンジンに小出力の電気モーターを付加した駆動電圧48ボルトのマイルドハイブリッドもあり、それを搭載したAWD車の燃費値は21.1km/L。

 1.8トンを超える重量級のクルマであることを考えると、きわめて優秀な熱効率と言える。2.5リットルガソリンエンジン車の燃費値は後輪駆動車が14.2km/L、AWD車が13.1km/Lで、ディーゼル車が40%前後リードしている。

 この効率の高さは単にディーゼルということで得られたわけではない。車両重量の近い現行モデル「CX-8」の2.2リットルディーゼルと比較しても、WLTC燃費値は市街地、郊外路、高速と、すべてのステージで3.3リットル6気筒が大幅に上回っている。マツダのエンジニアはCX-60の技術説明において、燃料の燃え方をはじめ当面やるべき技術的改良を全部やったと語っていた。今後、その開発の成果はより小排気量の次世代エンジンにも投入されることが予想される。

 マツダ以外ではトヨタ自動車もディーゼルの新エンジンを投入している。大型クロスカントリー4×4「ランドクルーザー300」の3リットル6気筒である。公称燃費はガソリン車の7.9km/Lに対し、22%良い9.7km/Lだ。

トヨタ「ランドクルーザー300」

 燃費自体が良いうえ、日本では軽油の単価もガソリンに比べて1リットルあたり平均で20円ほど安い。燃料代節減という観点ではディーゼルは依然として非常に魅力的な存在だ。軽油価格、自動車税額ともガソリンより高い欧州諸国でも、中大型車分野ではディーゼルのほうが多数派というモデルも多い。

トヨタ「ランドクルーザー300」に搭載される新開発の豊田自動織機製V型6気筒ツインターボディーゼル「F33A-FTV」。排気量は3.3リットルで最高出力は227kW(309馬力)