5.ロシア軍が化学兵器を使用する狙い

 ロシア軍が化学兵器を使用する地域には、①キエフ正面、②東部正面、③南部正面、④ポーランドからの軍事物資支援ルートの4つがある。

 ロシア軍としては、最も使用したいのがキエフ正面で、最も使いやすいのがポーランドからの補給ルートだ。その理由は、以下のとおりである。

キエフ正面の地域

 大統領の殺害、大統領がキエフを離れることを強制する。

 キエフ防御を瓦解(防御を混乱またはパニックにさせる)させる。

 ロシア軍が最も使用したい正面であることから、使用する可能性はあるが、国際社会から強い非難を浴びることになる。

 プーチンが各国の非難を浴びても使用するかどうかが、使用可否の分かれ目だ。

 市街地で使用すれば、化学剤が建造物の間に滞留する可能性が高いので、殺傷効果は高くなる。

 どのように使用されるのかは、撃ち込まれた数と地域によって、下の図のとおりである。

各地域に約10発の化学弾、各地域に約100発の化学弾

東部正面の地域

 化学部隊が東部に入ったとする情報がある。

 東部正面における攻撃を進展させるために使用する可能性がある。だが、ロシア軍とウクライナ軍が近接戦闘を行っていることから、双方の軍に被害が出る可能性がある。

 このため、この地域で使用する可能性は低い。