サリン砲弾・ミサイル弾頭は、着弾しても爆発しない
サリンが入っている砲弾やミサイルの弾頭は、地上に落下しても、大きな爆発を起こさない。弾頭部が壊れて、そこからサリンが放出される。
落下した時に爆発すると、サリンが燃えて、その効果が7割以上も減少してしまうので、落下時、爆発しない仕組みになっている。
粘着性が高い液体のマスタード弾は、この液体を拡散するために、弾頭部に少量の爆薬が使用されているが、榴弾(通常の砲弾)のように大きな爆発はない。
ただ、弾が破裂しマスタードが拡散されて、建物や土壌に付着する。そして、長期間、付着したところに残る。
時間が経過すると、液体は見えなくなるが、マスタードの成分は残っている。その成分に触れただけで、皮膚がびらんする。
マスタード弾を使用する場合(イメージ)、写真:マスタード剤

私がマスタードの調査をしていた時、その剤の恐ろしさを間近に感じたことがあった。
関係者が特殊な手袋に、見えないほどの少量のマスタードが着いたことを知らずに、その手袋を装着したのだが、手が大きく腫れ上がってしまったのだ。
ロシア軍が化学兵器を使用すれば、砲撃やミサイル攻撃よりも、かなり恐ろしいことが起こる。
ただ、サリン弾やマスタード弾を使用する時に、通常の榴弾と一緒に使う場合もある。その狙いは、サリン砲弾と同じく、使用者を隠すためだ。
砲弾の破片を受けずに死亡する兵士がいれば、化学剤が使用されたと見るべきだろう。
化学弾と通常弾を混合して使用する場合(イメージ)

生物兵器は、戦場では使えない
生物兵器には、郵便で送りつけて、あて先の個人などに細菌感染させる、あるいは密封された瓶に細菌を入れて水源地などに投げ込むなどの方法がある。
生物兵器は、敵軍を細菌で負傷させることができるが、回りまわって、自軍にも感染が広がる可能性がある。
衛生環境が悪い戦場では、どこまで拡散するのか計り知れない。だから、生物兵器は使われない兵器だとみてよいだろう。