そんな彼らの目に、私達のような生活はあまりにも享楽的で堕落と映るのかもしれない。しかし私達はそれを民主主義と呼び、享受している。いや、享受しているつもりになっているだけなのかもしれない。そこには差別や格差があり、巨悪がはびこっている。民主主義とは何か? われわれが善と信じ受け入れている体制は、果たして本当に善なのか。

タリバンは悪か

 今回、20年振りにタリバンが再び首都カブールを制圧した。欧米メディアは一斉にこの20年で作り上げてきたアフガニスタンの民主主義が崩壊したと伝えている。

 しかし、アメリカ軍の撤退を機に、アフガニスタンの民の多くが腐敗した政権にNOを突きつけたともいえるのではないだろうか。20年前の弩涛の時から今まで、タリバンを支持する声は決して消えなかった。

 そのことを思うと、「タリバンは悪なのか?」との疑問が再び浮かんでくる。

 しかし、「イスラムの源流」を自負し、イスラム教の厳格な教えに従うタリバンには、女性の人権の問題などの課題も多い。かつてのタリバン政権時代には禁止していた麻薬ビジネスも、現在はタリバンの重要な資金源になっているとの報道もある。アフガニスタン全体で見れば、タリバンを支持する人々の割合も減少傾向にあるという。これからタリバンがそれらの課題にどう取り組み、アフガニスタンの民の為にどんな国を創ろうとしているのか・・・それはまだ見えてこない。

タリバンが再び政権を握ったとき、女性はブルカを脱げるだろうか?(カンダハルで。写真:橋本 昇)
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