(フォトグラファー:橋本 昇)
20年前、タリバンを取材するため現地に入った。2001年9月、アメリカは突然、アフガニスタンへの攻撃を開始した。ターゲットはニューヨークの同時多発テロの首謀者とされたアルカイダの指導者ウサマ・ビン・ラディンだ。ビン・ラディンはアフガニスタンに潜伏し、同国のタリバン政権が彼をかくまっているとされていたため、タリバンも攻撃対象となっていた。
アメリカがアフガンを攻撃しそうな情勢を察知した私は、実際の攻撃に先駆けて現地入りした。まず私が向かったのはアフガニスタンの首都カブールではなく、隣国パキスタン側の国境の街ペシャワルだった。
タリバンを構成する民族はパシュトゥン人だ。ペシャワルは、アフガニスタンのカンダハルと並ぶパシュトゥン人の街である。いわばタリバンの本拠地なのだ。
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ケバブ売りの少年まで米国に「愚か者」
2001年10月、パキスタン北西部の街ペシャワルに入った。そこで目の当たりにしたのは、タリバンを支持する人々の民族としての誇りとアメリカに対する凄まじい怒りだった。
「君はアメリカをどう思う?」
ふと、バザールの一画でケバブを売っていた少年に声をかけてみた。
少年はその青い目でこちらを睨みかえし、鉄板の上の焼けたケバブにグサッとナイフを突き立てた。
「ジャヒール(愚か者)!」