神学校の子供たちも「もう少ししたら銃をとって侵略者と戦うよ」
町のマドラサの庭でイマーム(師)が子供達にコーランを教えていた。まんじりともせずに聴き入る子供達。イマームにタリバンについて話を聞いた。イマームはこちらの眼をじっと見つめながら言った。
「神学生たちは皆、熱心にコーランを学んだ。そしてわかった事は麻薬や汚職にまみれた祖国をアッラーの教えに忠実な国へと戻さなければいけないという事だった。彼らはその為のジハード(聖戦)を戦ったのだ」
イスラム教の教えは平和を尊び、暴力を否定しているが、同時に侵略者には「ジハード」によって戦えとも教えている。
「今、アメリカが侵略してきたが、きっといつかは追い出す」
そう言うイマームの顔には穏やかな表情の中に、強い意志が滲んでいた。
ペシャワルの人々の立場から見れば、そう思う気持ちがよく分かる。タリバンはアメリカが言うような悪なのか? そんな疑問が湧いてきた。
勉強を終え、目が不自由な友達に肩をかしながら立ち上がった子供に声をかけた。
「イマームの話は難しいけど、もう少ししたら神学校の兄たちのように銃をとって侵略者と戦うよ」
他の子供達も皆、「イスラムの勇敢な戦士になるのだ!」と口を揃えた。ビン・ラディンとオマル師(タリバンの指導者)は彼らの尊敬する英雄だった。日本の戦時中の教育を彷彿させるようなこの教育が、次々にタリバンの兵士を生みだしていた。
あの時の子供達も今や一人前のタリバンの兵士になっていることだろう。