3月13日に、革新機構の志賀会長が東洋経済のインタビューで、「産業革新機構は産業競争力強化法という法律に基づき設置されており、成長事業にしか投資できない」「少なくとも私が会長兼CEOをやっている限りは、そんな都合のいいお財布にはならない」と東芝メモリの買収を完全否定した(東洋経済)。
3月14日に、菅義偉官房長官は、東芝の経営再建について「支援策を政府として検討している事実はない」と語った(日経新聞)。
ところが、3月17日に世耕経産相が渡米して米商務省長官およびエネルギー省長官と会談した直後、革新機構が東芝メモリの買収に急浮上し、日本政府が外為法違反で中国と台湾の買収は認めないと発表し、米国とつながりの深いマクロニクスが東芝メモリだけを特許侵害で訴え、そして満を持したようにWDが契約を盾に「他社への売却は認めない」と言い出したわけだ。
世耕経産相も、革新機構の志賀会長も、菅官房長官も、大嘘つきである。
頑張れ!ホンハイ
米政府の圧力に屈した日本政府の便宜により、WD陣営が東芝メモリを買収した場合、どんなことになるのか? もう一度、表1をよく見てほしい。東芝メモリのボードメンバーには、WD、KKR、革新機構、政策銀、経産省が掻き集めた日本企業連合のお歴々が鎮座するわけだ。
3月28日の本コラム(「東芝メモリ買収、政策銀や革新機構は出てくるな!」)で述べたことをもう一度繰り返す。「メモリビジネスで最も重要なことは、巨額な設備投資を、いつ、どこで行うか、という果断な決断をすることにかかっている。つまり、メモリビジネスとは、一種のバクチなのだ」。
そのバクチ的メモリビジネスを、上記の烏合の衆の合議によって行うわけだ。これほど悲惨なことがあるだろうか? 目の前が真っ暗になる。頼むからやめてくれ。ホンハイの郭台銘会長殿、何とか頑張って東芝メモリを買ってくれ!