「ギャング」指定も75%に犯罪歴なし
米CBSは3月30日、エルサルバドルに送られた人たちの名簿を独自に入手。その後の調査で、当初凶悪なギャングだとして強制送還が伝えられた238人のベネズエラ人のうち75%に当たる179人には、犯罪歴がないことが発覚した。その他22%の人たちには犯罪歴があるものの、そのほとんどが窃盗や不法侵入、万引きなどで、殺人や誘拐などの重罪を犯したのはそのうち十数人程度だったとされる。3%の人たちには、犯罪歴の有無が不明確とされている。
CBSによれば当局が移民を拘束した根拠が、彼らにギャングと「関わりのありそうな」王冠のタトゥーをしていただけだった、という疑惑まで浮上している。
移民のエルサルバドル到着時の映像や画像からは、強制送還された男性たちが手錠や足枷をはめられ、頭を押さえつけられて中腰の状態で航空機から走らされ、建物内で強引に丸刈りにされ丸裸にされた挙句、白い半ズボンとTシャツを着せられた様子が確認できる。
CBSは特集番組の中で「私はギャングではない」と泣きながら母を呼んでいたメークアップ・アーティストの男性について伝えている。このベネズエラ人の男性はゲイであることと母国の政権に批判的な姿勢であることから迫害を恐れ、昨年5月米国に逃れた。
この男性を担当していた移民弁護士は、彼には亡命申請が認められるに値する十分な根拠があり、申請が通る可能性が大だったとCBSに話している。しかし、男性は亡命申請のため出廷しなければならない日に忽然(こつぜん)と「消えてしまった」という。強制送還された他の複数の家族なども、男性らがある日突然神隠しにでもあったのかのように「消えた」と話している。
今回トランプ政権により、裁判所や弁護士の対応が追いつかないほどの電光石火の速さで移民の大量移送が可能になった背景には、かつて日本人にも関わりのあった聞き捨てならない理由がある。