2100年の世界の姿とは

──報告書をまとめて最も驚いたことは何でしたか?

Madgavkar:一番驚いたのは、出生率の低下と人口動態の変化が世界的な現象だということでした。出生率の低下は先進国の出来事と考えがちですが、インドや多くのアジア新興国、中南米のほとんどの国がわずか1世代か2世代遅れで同じ状況を迎えるのです。

 彼らが人口増加のメリットを享受できる時間はあまり残されていません。一方、日本をはじめとする第1の波地域は、かつて経験したことのない高齢化の問題に直面しています。後に続く国々はそれを見守って、どのような対策が功を奏するのか、学ぼうとするでしょう。

──現在の出生率低下傾向がそのまま続けば、2100年の世界はどのようなものになっているでしょうか?

Madgavkar:人口の中心は急速に移動するでしょう。サハラ以南のアフリカの人口は2倍になります。逆に日本の人口は2100年までに38%減り、中国は55%減るでしょう。これに伴って、サハラ以南のアフリカの世界人口に占める割合は現在の16%から34%になります。アジアの先進国の比率は現在の3%から1%に縮小します。

 今のところ経済大国において大規模な人口減少が起きているわけではないので、2100年の世界を正確に予測することは難しいのですが、日本を含む先進国の人口は既にピークを迎え、急激な人口減少が起きるのは時間の問題です。

 世界規模の人口減少が、労働市場や財政規律の維持などに深刻な問題を引き起こす恐れがあります。どの国も労働人口の減少とケアを必要とする高齢者の増加に備えなければなりません。

世界の人口ピラミッド