3つの波はそれぞれどのように進展するのか?
第1の波は、日本をはじめ少子高齢化が進んでいる地域──ヨーロッパ、北米、アジアの先進国と中国──で既に起きている。こうした地域の労働人口は2010年には総人口の70%を占めていたが、現在は67%に落ちており、2050年には59%まで落ちると予想される。
第2の波は、アジアの新興国、中南米、中東、北アフリカで起きつつある。この地域の平均出生率が2.2であることから、2030年には人口減少に転じる可能性がある。
最も遅れて人口のピークを迎えるのが第3の波を作るサハラ以南のアフリカの国々で、現在4.4の出生率があり労働人口は増え続けている(ただし、これらは平均の話であって、第1、第2、第3の波の地域の中でも人口のピークを迎えた年はバラツキがある)。

この結果、今世紀の終わり2100年の世界はどのような状況になっているかといえば、最初に労働人口のピークを過ぎた第1の波の地域に暮らす人は合わせて世界の総人口の18%(1997年には42%だった)となり、逆に11%だったサハラ以南の人々が34%を占めることになる。
中国の人口は21%から6%になり、インドは17%から15%になる。こうした人口構成の変化や高齢化が進むことによる生産性の低下、増大する若者の負担などが社会と経済に与える影響は非常に大きく、今すぐに対策を講じなければならないと報告書は警告している。