おわりに
2018年6月18日、トランプ米大統領は、国防総省に対し、陸海空軍などと並ぶ「宇宙軍」を創設するよう指示した。
トランプ氏は国家宇宙評議会での「宇宙軍」の創設に関する演説で「アメリカの宇宙でのプレゼンスだけでは十分ではない。宇宙におけるアメリカの優勢(dominance)がなければいけない」と強調した。
さらに「米国はこれまで他国をリードしてきた。中国やロシアに先を越されてはならない」と述べ、宇宙での軍事態勢を強化する方針を示した。
宇宙における優勢とは、海における「制海権」、空における「制空権」と類似した概念と考えると、問題は複雑になる。
宇宙空間は海や空とは異なり、領海や領空という概念がなく、また一定の空間から敵を排除するということが極めて難しい。
もし敵を排除しようとすれば、打ち上げられる敵のロケットをすべて撃ち落とすか、既に軌道上にある敵の衛星を破壊しなければならない。
大統領に返り咲いたトランプ氏は、本気で、「宇宙配備ブースト迎撃システム」を開発・配備して、宇宙におけるアメリカの支配的立場を確立しようとしていると筆者は見ている。