侮れない中国

 昨年は2度にわたって中国を訪問したが、先端技術分野での目覚ましい発展に驚かされた。

 それは、本コラムでもレポートしたところである。

【参考記事】中国訪問し「習近平の後継者」と会談した元都知事、自動運転の無人タクシーに乗車して実感した現代中国の底力(2024年12月7日)

 中国を支配しているのは中国共産党であるが、「万人が平等な」社会が実現しているわけではない。厳しい競争社会である。先に、大学の受験地獄について記したが、随の時代から清の時代まで科挙が続いてきた国である。何段階もの地獄のような試験を合格しなければ、社会の指導者にはなれない。

 科挙では60歳という高齢で合格する者も出るなど、人生を受験に捧げたような人もいた。今の中国も状況は似ており、幼少期から高考めざして、受験勉強に励む。したがって、DeepSeekで働くような天才的人材が輩出されるのである。

 EVやドローンの開発にしても、数多くのメーカーが競争している。負ければ、撤退せざるをえない。中国メーカーの攻勢に対抗するために、ホンダと日産が経営統合する日本とは大違いである。

 中国が熾烈な競争社会であることを認識しないと、日本は取り残されていくばかりである。