2月4日、イスラエルのネタニヤフ首相との首脳会談後、共同記者会見にて記者の質問に答えるトランプ大統領(写真:AP/アフロ)
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(舛添 要一:国際政治学者)

 2月4日、トランプ大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相と会談した後に記者会見し、アメリカがガザを所有し、再建させると述べた。そして、住民全員を域外に移住させるとした。この発言は、国際社会から大きな批判を呼んでいる。

不動産屋的発想

 トランプによれば、まずは廃墟と化したガザを整地し、全住民を域外に移住させる。ヨルダンやエジプトが彼らを受け入れる。移住費用は、中東地域の豊かな国々が負担すべきである。

 次いで住宅を建てて世界中から人々を呼び寄せて、地中海のリビエラのような観光地にするという。

 この提案には多くの問題があることは、直ぐに分かる。住民を強制移住させることはジェノサイドに繋がるものであり、ジュネーブ条約に違反する。周辺諸国が、住民を受け入れたり、移住費用を負担したりすると考えるのは現実的ではない。サウジアラビアをはじめ、親米的なアラブ諸国も移住案には反対している。

 ガザを「中東のリビエラ」にするというのは、不動産屋、ディベロッパーの発想である。荒廃した土地を安価に入手し、そこを再開発して売却し、巨利を得るというものだ。トランプは、ガザにトランプタワーでも建設するつもりなのか。

ガザ地区ジャバリヤの破壊されつくした光景=2月6日撮影(写真:AP/アフロ)
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 不動産の開発には長けていても、トランプが歴史には関心も興味もないことは有名である。安倍晋三首相は、トランプが日露戦争のことを全く知らなかったことに驚いたことがある。

 そこで、パレスチナの近代史を振り返ってみよう。