「相続税がない国」中国

 国土の売り物が多くなる中、日本人の買い手は現れず、代わって中国など「相続税がない国」の人たちがこぞって買い進むだろう。重い相続税がある日本人と相続税ゼロの中国人とでは、そもそも公平な価格競争になり得ない。

 日本政府は日本国籍を持つ人々の税金逃れを許さない。2024年から相続登記も義務化された。税は取りやすいところから取れれば良いということか。

 固定資産税をめぐっても海外勢には課題が残る。固定資産税を払い続けない外資所有不動産が出てきて、しかも相手との連絡がつかなくなったら自治体の対策には行き詰まりが生じる。納税管理人もあてにはならない。やがて自治体は徴税を諦め、最終的に不能欠損処分となるだろう。要は、回収できない債権を翌年度に繰り越さないために、徴収権を消滅させる手続だ。議決でよい。ただ一部の自治体を除けば税別ごとの内訳や内情を公表していない。諸情報は自治体限りに留めている。各自治体の徴税率が高いのはこのためだ。

 まずは「合同会社やSPC等が所有する国土(土地)について、所有者不明防止対策として制限できる制度」がほしい。正体不明の鵺のような者が所有者だと課税・徴税はもとより、該当地での公共事業も執行できない。「外資所有不動産の増加とそれに伴う所有者不明地の増加への対応」として避けてはならない改善点である。

 こうしている今も北海道から九州・沖縄まで、①再エネ名目の土地と、②リゾート用地名目の土地を探して地上げ屋が跋扈し、買収が進んでいる。買収対象は森林・農地に加え、港湾後背地、流通団地、工業団地にも広がっている。