(姫路大学特任教授:平野秀樹)

 宇多田ヒカルさんは新聞記事を目にして、つぶやいた。12年前のことだ。

「日本の森林や離島がどんどん外国に買われてる問題が気になっていて、今日スタジオにあった新聞で『外国人・外国法人の土地取得を規制強化へ』という見出しを見て久しぶりに新聞ちゃんと読んだ!関連法案の行方、要チェックやで~」
――2011.1.5(@utadahikaru)

 このツイートは今もネット上に原文が残されている。

 アメリカ育ちでイデオロギーなど感じさせない宇多田さんは、フラットに心配していたのだろう。

 爾来十余年――。

 外資の国土買収は止まらない。

どんどん小さくなる「外国人による国土買収に反対する国会議員」の声

 都心の不動産も人気だ。霞が関の若手官僚(経産省)はいう。

「デベロッパーは都心の高層マンション人気を『パワーカップルの実需だ』と、言うけれど、ウソでしょう。中国の不動産不況を背景に、中国人が日本に投資しているだけです」

 外資の国土買収は、もはや当たり前のフツーの出来事となり、新聞やテレビのオールドメディアは、このニュースを報道しなくなっている。

 外資への売却で儲ける売主や業界の声は大きくなり、反対派の声は小さくなるばかり。

 与党の国会議員も批判しなくなった。見て見ぬふりで、このテーマに近寄らない。複数のルートで感じたが、もうどうしようもないと諦めはじめた国会議員が増えている。