Local Coopに期待されているもう一つの役割
LC大和高原が自主事業に力を入れるのは、住民の利便向上が大きな目的だが、同時にLocal Coopとしての収益源を増やすという側面もある。
上述したように、LC大和高原の日々の業務を支えているのは地域おこし協力隊だ。ただ、協力隊の任期は3年間のため、今の隊員を継続雇用する場合はLC大和高原で雇用する必要がある。また、新たに隊員を採用するにしても、協力隊を募集するのは奈良市であり、3年後に同じように集まるかどうかはわからない。
もちろん、Local Coopが自治体のサブシステムという位置付けである以上、行政からの委託が収益の中心になるのは当然だが、組織の持続可能性を考えれば、それでも自前で社員を抱えるくらいの規模感が求められる。
現状では「おたがいマーケット」や「大和高原直送便」の売り上げはしれているが、住民や議会の理解を得るためにも、この部分の継続的な努力は必要だ。
繰り返しになるが、Local Coopの目的の一つは共助を通して地域の持続可能性を高めること。資源ゴミの回収やコミュニティバスの運行はその入り口だが、Local Coopは単に行政サービスを代替するだけの存在ではない。共助を可能にする地域コミュニティの醸成、それもLocal Coopに求められている重要な役割である。
資源ゴミの回収ボックスをそれぞれの地域の自治会館に置いたり、「おたがいマーケット」の受取場所をONOONOに限定したりしているのもそのためだ。
「ゴミを出しに来る時に地区の他の住民と会話したり、ネットスーパーで注文した商品を取りに来た時に協力隊の隊員と雑談したり、住民同士の交流につながる機会になれば、と思っています」。LC大和高原の本間が語るように、さまざまな場を通して、社会関係資本の強化を図ろうとしているわけだ。
