「石木ダム建設絶対反対」を半世紀掲げ続ける13世帯が暮らす長崎県川棚町川原(こうばる)にて(2025年12月7日、筆者撮影)
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 高市早苗総理大臣は2025年11月27日、経済財政諮問会議において「租税特別措置・補助金見直し担当室」の設置を発表した。EBPM(証拠に基づく政策立案)によって政策の実効性を検証し、財政構造の転換を目指すという。

「日本版DOGE」と報じられることもあるが、果たして河川事業の補助金配分にまで徹底されるのか。12月初旬に国会議員が行ったヒアリングでは、「日本版DOGE」の前に立ちはだかる既存の評価制度の深刻な問題を浮き彫りにした。

時間の経過で公益性を失った石木ダム計画

 超党派の国会議員連盟「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」(会長:篠原孝衆議院議員)は、12月4日に石木ダム事業(長崎県)、9日に善福寺川上流地下調節池事業(東京都)について、現場の住民と国土交通省水管理・国土保全局の治水課等(以後、国交省)からヒアリングを行った。

国会議員連盟「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」のヒアリングで発言する岩下和雄さん(2025年12月4日、参議院議員会館にて筆者撮影)

 石木ダム予定地の地権者、岩下和雄さんは、ダム計画の根拠である「利水」と「治水」の目的は、時の経過とともに完全に失われたと渾身の力を込めて語った。

「もともと県は、『河川改修で間に合う』と言いよったんですよ。国からの補助金をより多く引き出すために、後から加わったのが『治水』です。最初の目的は、『利水』でした」

 その利水についても、長崎県が目指した工業団地誘致は頓挫、佐世保市が1日17万トンの水供給体制を目指したが、今や最大でも1日7万トンを切り、将来的には5万トンを下回ると予測されている。「ダムは要りません」(岩下さん)。

 長崎県は強制的な土地収用手続きを進めようとしているが、岩下さんたち13世帯約50人は、立ち退きを拒否。現在も生活を続け、支援者たちと共に、抵抗の意思を示し続けている。(2023年3月26日に既報「予定されていた工業団地はハウステンボスに、目的失ったダム計画が消えない謎」