問題3・放置された16年前の会計検査院の意見

 最後に宮本さんは、会計検査院が2009年に、国土交通大臣に対して費用便益分析のおかしさについて意見(https://report.jbaudit.go.jp/org/h21/2009-h21-0664-0.htm)したことを説明した。国交省が「不特定容量」と称する、環境のためにダムに貯める量を「治水」の便益に含めて計算する奇妙な仕組みについてである。この仕組みを国交省は「身替り建設費」と呼んでいる。

 ダム事業費が増加した場合は、自動的にこの「身替り建設費」が増加することになっている。その結果、石木ダム建設事業費が2024年に135億円増加して420億円になった際、「治水」の便益もなぜか自動的に135億円増となり、B/Cが1を超えるカラクリが使われたというのだ。

 宮本さんは「仮に(身替り建設費を使う計算方法を使わず)便益が5年前と同額であれば、石木ダム事業のB/Cは0.82となり1を下回る」とし、本来、中止の判断がでると指摘した。

 国交省は、「身替り建設費」という計算方法の是正について、異様な早口で「適切な方法があるかを引き続き検討しておりますけれども、現時点ではこれに代わる方法がないので、身替り建設費を用いている」と回答した。

 つまり、16年間、「検討」したふりをして、実際は放置していたのだ。

 これらの問題指摘に対して、議連事務局長の山田勝彦衆議院議員は、「こういうズサンな評価の在り方であれば、おそらく未来永劫、無駄な公共事業を止めることは叶わないんじゃないか」と問いかけた。

 また議連会長代行の嘉田由紀子参議院議員は、「政府が、政府効率化政策をやるのなら、公共事業に特化した見直しを議員立法でも出しませんか」と参加議員に呼びかけた。

発言する嘉田由紀子参議院議員(2025年12月4日筆者撮影)