いけすで泳ぐスルメイカ。この10月、水産庁は2026年3月末までの採捕停止命令を出した(写真:共同通信社)
(安木 新一郎:函館大学教授)
海は重要な食糧源だが、海とともに生きることには大きなリスクを伴う。
今年、瀬戸内海で養殖カキが大量に死んでいる。海の高温化と高塩分が原因と考えられているが、先日、漁業関係者から、カムチャツカ地震の影響もあるのではないかという話をうかがって驚いた。
2025年7月30日にカムチャツカ半島付近で大規模地震が発生した。ペトロパブロフスク・カムチャツキーでは停電が起き、千島列島・幌筵島セベロクリリスクでは津波で水産加工場が流された。
このカムチャツカ地震による潮位変化の影響が瀬戸内海にも及び、海水の状態が変わったことで今回のカキの大量へい死につながったのだとすれば、いわゆる「バタフライ効果」であり、予測不可能な事態だと言える。
函館の水産業は、イカの予想外の水揚げ、ホタテをめぐる中国との関係など、さまざまな問題に直面している。こうした中、マスノスケ(キングサーモン)の完全養殖に向けた研究開発も進んでいる。
根室の漁業関係者によると、道東の秋サケが50年来の不漁だという。オホーツク海の北側のアムール河やカムチャツカではサケマス漁は順調のようだが、北海道や樺太(サハリン)、そして千島列島にはサケマスが戻れなくなっているようだ。オホーツク海南部の海水温が高いからだと考えられている。
これに対し、10月、道東ではスルメイカがけっこう獲れていた。三陸でも底引きでイカが獲れており、さあこれから回遊してくるイカを獲るぞと盛り上がっていた道南・函館に衝撃的な知らせが届いた(今年上半期のイカの状況については、拙稿「イカが取れなくなったイカのまちで起きている中国依存、日中関係の悪化で打撃を受けたホタテの二の舞か」を参照)。