函館にとって衝撃だったイカ採捕停止命令
10月22日、北海道いか釣漁業協会は自主規制として、小型イカ釣り漁船(5トン以上30トン未満)を休漁とし、31日、水産庁は2026年3月末までの採捕停止命令を出した。水産庁が定めた2025年度の小型漁船による全国漁獲可能量(TAC)を、10月15日時点で、北海道だけで1000トン近く上回る5800トンを獲ってしまったからだ。
10月30日に大泉潤・函館市長らが水産庁長官に「地域としては死活問題」として、漁業枠の拡大などを求める要望書を手交したが、停止命令が覆ることはなかった。
結果的に、北海道は特例として、11月10日に資源量などの調査目的として、道内の漁業者に限って、上限398トンの漁を許可する「特別採捕許可」を出した。11日、函館市水産物地方卸売市場によると、水揚げされたスルメイカは3680キロで、最高額は5キロ7900円と休漁前よりも高値で取引された。
函館のスーパーマーケットで売られていたスルメイカは、禁漁前と変わらず大きかったが、価格は1杯498円で、「イカの町なのに、考えられないほど高い」と言って地元民はため息をついていた。スルメイカが最も獲れる時期に停止命令が出てしまったことで、イカ漁師の中には困り果てている人もいる。
道東など他の地域で獲られてしまい、「イカのまち」函館からイカが消えるという事態を防ぐためには、地域ごとの漁獲割当量を定めることも必要になるだろう。
一方、イカの絶対量が減っているのだから、中長期的にはイカ依存からの脱却を図るべきだと思われる。