公金濫用を疑われる善福寺川上流地下調節池

 議員連盟「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」が12月9日に開催したヒアリングでは、善福寺川上流地下調節池(以下、善福寺川調節池)が取り上げられた。

 本流・神田川に注ぐ善福寺川の上流域の地下40mを2041年までかけて5.8kmにわたって直径9mのシールドトンネルで掘って30万立方メートルの水を貯留する計画だ(「杉並の地下に巨大トンネル、善福寺川の氾濫防ぐ目的の調整池だが、費用対効果分析を公開せぬままの建設に住民が疑念」で既報)。

 元日本学術会議会長の大西隆東京大学名誉教授は、この事業ではB/Cが1を下回る疑いがあるにもかかわらず、それを隠してしまうカラクリを指摘した。

 東京都が事業単独でのB/C分析を求められる「補助金」ではなく、国交省の「社会資本整備交付金」からメニューを選ぶと、本流・神田川に計画されている複数事業の一部である善福寺川調節池としての単独のB/C(1以下になる可能性がある)を隠すことができるというのだ。

 善福寺川調節池の事業費は1406億円で、神田川流域全体の事業費4844億円の24.0%を占める。一方、善福寺川調節池単独の便益は、貯水容量で按分してみると、総便益の11.2%程度に過ぎない。善福寺川調節池の単独のB/Cは0.656となり、1.0を大きく下回るというのが、大西さんの概算だ。

立ち上がって単独事業のB/Cが隠れるカラクリを説明する大西隆東京大学名誉教授(2025年12月9日、参議院議員会館にて筆者撮影)

「流域全体でB/Cが高い事業と低い事業があった場合に、高い事業の影に低い事業が隠れて、低い事業の妥当性をチェックする仕組みがない。これはモラルハザード、もっと厳しく言えば公金濫用につながる。再評価要領を修正する必要があるのではないか」(大西氏)

 これにも、国交省は「事業主体が適切に判断して行うべきものだ」としか回答しなかった。

 やりとりを聞いていた議連事務局次長の山崎誠衆議院議員に「それがダメだと言われている」、五十嵐えり衆議院議員に「再評価要領は修正すべきではないかと問われている」と念を押されても、国交省は「私ども現時点ではですね、欠陥だらけじゃないのという風なことに対しては、もう決してそういう風には思ってございません」と言い切った。