日本郵政の出向者が開発したサービス

 また、生活の利便性を高める施策として、郵便局を活用した買い物支援「おたがいマーケット」や、月ヶ瀬産の野菜を市内の飲食店につなぐ「大和高原直送便」などの自主事業も始めた。

「おたがいマーケット」は月額1650円を払うことで、ネットスーパーで購入した商品を翌日受け取れるサービス。16時までにイオンのネットスーパーで注文すれば、奈良市内のイオンから奈良中央郵便局、月ヶ瀬郵便局を経由して翌日15時頃にONOONOに届く。

 月ヶ瀬にはスーパーがなく、移動手段に乏しい高齢者は不便を強いられている。その不便を少しでも解消するために日本郵政と奈良市、NCLが中心となって開発したサービスだ。「ターゲットは、クルマの運転が難しくなったお年寄りです」とLC大和高原のプロジェクトマネジャーを務める本間英規は言う。

「おたがいマーケット」によって届けられた食材「おたがいマーケット」によって届けられた食材

 日本郵政は2022年4月から、社会課題解決に取り組む企業や地方自治体に社員を派遣し、新しい事業モデルの構築を図る「ローカル共創イニシアティブ」を推し進めている。NCLが協業パートナー1社になったこともあり、日本郵政の社員が奈良市に出向。月ヶ瀬での共助型買い物サービスの開発に取り組んだ。

 もう一つの「大和高原直送便」は、月ヶ瀬温泉に隣接した直売所「ふれあい市場」に並ぶ地元の野菜をLC大和高原の担当者が毎朝チェックし、奈良市内の飲食店にシェアして注文を取るというもの。注文が入れば、月ヶ瀬郵便局まで運び、12時20分の便で奈良中央郵便局まで送る。「おたがいマーケット」とは逆の動きだ。

ふれあい市場に並ぶ地元の野菜ふれあい市場に並ぶ地元の野菜
月ヶ瀬郵便局に届けられた野菜。ここから奈良中央郵便局まで送られる月ヶ瀬郵便局に届けられた野菜。ここから奈良中央郵便局まで送られる

 直売所の野菜のため、毎日同じ野菜が手に入るわけではないところが利用拡大のハードルだが、新鮮で価格も安いため、飲食店の評価は悪くない。

「鮮度は圧倒的にいい。(欲しい野菜が)ある時とない時があるのはネックだけど、僕のような居酒屋では問題はない」(大和高原直送便を活用している和食店「圓通」の中山有記)。

「圓通」では月ヶ瀬産の野菜も売りの一つ「圓通」では月ヶ瀬産の野菜も売りの一つ